カナダ省エネ住宅の歴史

省エネルギー住宅への挑戦

1970年代のオイルショックを機に、カナダ天然資源省は省エネルギー対策の研究に取り組み始めました。住宅部門は、各産業分野別のエネルギー消費率の中で、約1/5の割合をも占めています。冬の自然気候が極めて厳しいカナダでは、住宅のエネルギー消費量を削減することと省エネ住宅の開発は国民を守ることであり、無視できないものでした。

経済性と省エネ効率を高めるために、まずは断熱材を厚くし、住宅の断熱性を高めました。しかし、これは湿気を室内に閉じ込める原因となり壁内結露という問題が生じました。そこで壁内結露問題を解消するために、気密性を高める資材と工法の開発を始めたのです。しかし、結露問題が解消されると、次は室内空気汚染という問題が生まれました。
気密性を高めると同時に換気性を高めて空気汚染を軽減する、この2つの相対するテーマを解決するために、熱交換換気システム、低VOC塗料、接着剤が開発され、市場に出回るようになりました。

R2000住宅の誕生とアドバンス住宅

1980年代に入って「総括システム」という考えが生まれました。例えば、気密性が高まれば室内空気汚染という問題が発生するように、なにか一つを改善すると、今度はなにか違った分野に影響を与えることがわかり、省エネ、安全、快適な住まいを造り上げるには、一つ一つの要素や事柄について気を配るだけでなく、すべてを総括して理解した上で設計し建設する必要性を学んだのです。

1980年代半ばにはカナダ天然資源省が「総括システムの住まい造り」をプログラム化し、業界をはじめ消費者への普及活動を行いました。このプログラムがカナダの省エネ住宅プログラムとして有名な「R2000住宅プログラム」なのです。

1990年代に入ると、原油価格は安定期を迎え、「環境配慮型住宅」への研究が進められるようになりました。そこで開発されたのが、「アドバンス住宅プログラム」です。例えば、照明については、白熱灯より蛍光型ランプを使用することを推奨したり、自然光を最大限利用する設計方法の指導を行いました。また節水という条件もガイドラインに加えられました。
この「アドバンス住宅プログラム」では住宅エネルギー消費量を更に25%下げると共に、水の消費量でも従来の住宅と比較して50%下げることができました。

Super Eプログラムの誕生

21世紀に入り、カナダでの研究と経験により蓄積されたノウハウを生かし、カナダ国外でも「省エネで健康で環境に優しく、快適で安全な住まい」が実現できるよう開発されたのが海外向けのがSuper Eプログラムです。Super Eプログラムは、1999年に日本で紹介され、2001年にイギリス、アイルランド、2006年には中国でもSuper Eハウスが建設されています。